YouTubeチャンネル『ヒロシちゃんねる』との出会い、ソロキャンプをはじめる決意、キャンプ道具をニヤニヤしながら選ぶ日々、そして打ちのめされたキャンプ予行練習。紆余曲折を経ながら、ついにこの日がやってきました。そう、ソロキャンプデビューです。
ここまで準備しながら、キャンプの予行練習では挫折ギリギリまでいきました。その様子はこの記事にありますので、ぜひ読んでください。
想像とは違う数々の出来事を経験し、「せめてもう一度だけ、ソロキャンプはやってみよう」と決心してから約2ヶ月。その決心通り、ついにソロキャンプのための計画を練り始めました。前回、勘違いにより、ファミリーキャンプに囲まれたサイトを予約してしまった私。子供達がボールでキャッキャ遊ぶ中、一人もくもくとテント設営をしました。
「賑やかでいいんだけど、ちょっと想像と違うなあ笑」
そんな気持ちになった反動で、私は自然と、結構ハードめなキャンプ場を探していました。そんな私が今回探していたキャンプ場の条件は以下の通りです。
どうでしょう、この揺れ動くオトコゴコロを如実に現したような条件。強気なんだか弱気なんだか、よくわからないですね笑 とにかく前回のキャンプ予行練習は、「とても疲れた」というイメージが強く、片道3時間以上かけてキャンプ場に出かけていく元気が出ませんでした。なのに、前回の反動なのか完ソロ(キャンプ場に自分しかいないご馳走状態)を望むなんて、かなり虫のよい話です。しかし、この条件に合うキャンプ場があったのです。私が所属する某LINEソロキャンプコミュニティ(お世話になっております!)で教えてもらったキャンプ場「CAMP BEAN(キャンプビーン)」さんであります。
ブッシュクラフトの聖地「CAMP BEAN」!
「CAMP BEAN(キャンプビーン)」さんは、静岡県伊豆市にあるキャンプ場。伊豆箱根鉄道駿豆線の修善寺駅から車で約15分ほど、標高約300mの山頂付近にあります。かなり細い、曲がりくねった林道を進んでいき、「本当にキャンプ場があるんだろうか・・・」と不安になった、さらにその先のヒノキ林を抜けた先にあります。
ここはズバリ、伊豆におけるブッシュクラフトの聖地。オーナーさんが趣味で開拓したキャンプ場で、しっかり後始末をするという約束のもとで、直火での焚き火が可能です(2022年4月現在。要確認)。落ちている枝を拾ってきて、さまざまなブッシュクラフトに挑戦する上級者のお客さんが多いキャンプ場。すべて林間サイトとなっており、鬱蒼と生い茂る森の中で過ごすことができます。
しかも、この日は平日ということもあり、客さんは私ともう一人のみという準完ソロ状態! まさにソロキャンプデビューのお膳立ては整ったのです。
やってきました、初のソロキャンプ!
「CAMP BEAN」まで、家から約2時間。前回の長野行よりも大幅に距離は短く、さらに今回は食材などは事前に地元のスーパーで仕入れ済み。キャンプ場での時間をたっぷり取るために、前回の反省を生かして準備万端です。
大平ICで高速を降り、伊豆市の市街地を抜けて林道へ。愛車パジェロミニさんのコンパクトボディのおかげで、曲がりくねった細い林道もドンドン進んでいけます。思えば車で林道を走るのもはじめての経験です。しかし、いけどもいけども、木々しか見えない林道。途中、かなり不安になりましたが、なんとか無事に到着しました。「CAMP BEAN」さんのサイトでは、親切に林道を進んでいく様子が画像で紹介されているので、不安はかなり軽減されましたね。
受付でここを初めて利用することを告げると、管理人さんがキャンプ場全体を案内してくれました。「今日は他に1人しかお客さんがいないので、どこでも好きな場所でいいですよ」と、感謝感激のお言葉。それに甘えて、このキャンプ場で最も高い位置にある、とても広いサイトを一人で使わせていただけることになりました!
そのサイトまで愛車パジェロミニさんで上がったのですが、これは軽自動車でなければ入れなかったですね。木と木の狭い間を何度もゆっくりと抜け、ついにサイトに到着したのです。
テント設営と、奴の巡回!
森に囲まれたサイトは、本当に素晴らしいものでした。まさにキャンプをはじめようと決めたときに思い描いていた通り、いやそれ以上の素晴らしい環境です。都会から離れた自然の中に、今自分は一人でいる。そんなことを強く実感する森の中は、たくさんの鳥と虫の鳴き声だけが響いています。
そんな感慨に一通りふけり、さあテントを設営しようと思った矢先です。どこかで聞いたことのある重低音が、遠くから私めがけて一直線で迫ってきました。「これは!」とすぐさま危険を察知した私は、安全地帯である車めがけて一目散! ドアを開けて素早く滑り込みました。どこぞ名のあるスナイパーの狙撃。ではなく、スズメバチの襲来でした。
たった一匹のスズメバチでしたが、虫嫌いの私をビビらせるには十分すぎる羽音の迫力。彼は自分たちのテリトリーに侵入してきた私に、盛大な威嚇をしていきました。そう、私はこの日、よりによって黒のTシャツ姿。私はそのときようやく、スズメバチが人間の黒い頭や服装を嫌って攻撃してくるという習性を思い出しました。
この日は10月初旬で、季節はすっかり秋。しかし伊豆という暖かい土地では、まだまだ虫たちは活発に活動していたのです。前回、8月の長野でのキャンプは標高1300mの高地ということもあり、蚊や虻、そしてトンボくらいしか飛んでいなかったので油断しました。
用意してきたカーキ色の上着を着用して、なんとかスズメバチを刺激しないよう対応。しかし、このスズメバチは私が悪さをしないように定期的に巡回してきて、その度に私はパジェロミニさんに逃げ込むことになるのでした。スズメバチ、強い。
森の番人を怒らせないように刺激しないように、恐る恐るテント設営をはじめた私。これで2度目となる設営は、もう手慣れたものでした。森の中に、ポツンとたたずむ「BUNDOK・ソロティピー1TC」。とてもカッコいいテントです。前室には用意してきたキャンプ道具を並べます。
なかなか火がつかない焚き火と、心配する鹿
さて、スズメバチの襲来の合間をぬってテントを設営し、ひと息ついた私。そろそろ焚き火の準備にかかろうと思い立ちます。このキャンプ場では、念願の枝や倒木を拾っての焚き火に挑戦するつもり。もちろんキャンプ場の受付で薪も購入してきているので、まずは着火から火を大きくするまでを拾ってきた薪で、その後に購入してきた大きな薪へと移行するつもりでした。
前回の長野では友人のキャンプ経験者セキくんに焚き火を起こしてもらった私。その手順をしっかり見届けたので、今回は自分で火を起こす気満々でした。しかし、そうは簡単にはいかなかったのです。
この日拾ってきた枝は少し湿っていて、なかなか火が着かないのです。持ってきた真鍮製のジッポーライターでようやく火を着けても、焚き火台に置くと消えてしまいます。それを繰り返しているうちに、なんとライターのオイルが残り少なくなってきました。ライターの火すらなかなか着かなくなってきて、途方に暮れる私。このままではビールだけ飲んで、ふて寝するしかありません。
そんな時、思い出したのが、以前テレビ番組で見た焚き付けのシーンです。そこではベテランキャンパーさんが、新聞紙を紐状にして結び、導火線のようにして焚き付けに使っていました。新聞紙など持ってきているはずもありませんでしたが、私の目に止まったのはキッチンペーパー。「これでなんとかなるんじゃないか?」と思い、キッチンペーパーを何枚か重ねて丸めて紐状にして結び、即席の焚き付けを作りました。これが、なんと大成功。丸めたキッチンペーパーで燃え上がった炎は、湿った小さな枝をジワジワと燃やしてくれました。
やっと点火した、貴重な火。これを絶やさないよう、小さな枝をパキっと割りながら、慎重にくべていきます。新たに投入した一本一本の枝に火が燃え移っていくたびに、安堵感とワクワク感が広がっていいきます。
「これが、私が初めて自分で起こした焚き火なんだな」
そう思うと愛おしささえ感じてしまいました(大袈裟)。パチパチと小さな音を立てて、徐々に大きくなっていく焚き火。そうしていると突然、森の中から大きく甲高い声が響き渡りました。
「鹿だ!」
はじめてやってきたソロキャンプで、はじめて自分で焚き火を起こしたとき、森に響いた鹿の声。それはすぐ近くに感じましたが、その姿を見ることはできませんでした。まるで拙い焚き火を心配して、見守ってくれているような声は、何度も辺りに響き渡りました。いささか都合のよい解釈かもしれませんが、いいんです。これは間違いなく、私が夢見てきたソロキャンプのワンシーン。私ははじめて、「キャンプをはじめてよかった」と思いました。
このときの様子は、YouTubeチャンネル『週末のインディアナ』で見ることができます。心配そうな鹿の声を、ぜひ聞いてください。
焚き火の晩餐と、忍び寄る影
さて、焚き火は順調に大きく育ち、もう消えてしまう心配はないでしょう。お腹も減ってきたことですし、そろそろ肉でも焼きましょう。前回、長野のキャンプでは友人のセキくんが、それはもう美味しい地元で育った牛肉を持ってきてくれました。でも今日は地元のスーパーで買った肉です。それも豚。私は大の豚肉好きなんですよね。焼肉屋でも必ずオーダーする豚カルビを焼いて、塩だけ振って食べようというワイルドスタイルです。
前回はフライパンで肉を焼いたのですが、今日は違います。神奈川県茅ヶ崎発祥のアウトドアブランド「キャンピングムーン」の「焚き火ゴトク」を持ってきました。これはとても軽量なステンレス製ゴトクで、ピコグリルにぴったりと評判。もちろんこの日が初おろしだったのですが、これで焼いた豚カルビは最高でした。余分な脂が落ち、カリッとジューシーに焼き上がります。なんの変哲もない、スーパーで買った豚バラ肉が、こんなに美味しいなんて。これはもうアウトドアマジックですよね!
美味い肉を舌と耳で味わい、冷たいビールをのどに流し込む。辺りには誰もいなくて、自然の中に一人。これぞ夢に見ていた極上の時間。しかし、なんとなく不穏な空気を感じはじめたのはこの時間帯でした。辺りはすっかり暗くなり、灯りと言えば焚き火と小さなLEDライトのみ。暗い地面に目を凝らすと、何やら動いているのです。しかも、ひとつやふたつではありません。何かがこちらにゆっくりと向かってくるのです。
※これ以降は、画像などはありませんが、虫が苦手な方は閲覧にご注意ください・・・。
早くもキャンプ最大の試練が現実に!
何度も言いますが、私は虫が苦手です。それもかなりランキング上位である自信があります。薪拾いのときから、見たこともない虫が地面をうろついているのに気づいていました。とても長くて細い脚を持つ、大きめの蜘蛛のような虫です。動きも遅いので、拾う薪にくっついているときは薪を振って落としたりしていました。とても気味の悪い姿形ですが、害もなさそうだし、放っておけばいいか。そう思っていましたが、奴らは夜がふけるとともに行動を開始したのです。
なんとその虫は、私が焚き火の前で肉を焼き、ビールを飲んでいる場所めがけて寄ってきました。それも一斉にです。動きはゆっくりですが、視界にいる何匹ものそれは、私めがけて歩いてくるのです。
「何これ。うそでしょ」
私はこの日、テントの周りに「ヤブ蚊バリア」なるスプレーを撒き、さらに「パワー森林香」という、畑仕事や山仕事をする人たちが使用する、強力な蚊取り線香のようなお香を2箇所(!)で焚いていました。もちろん我が身にも「天使のスキンベープ・プレミアム」という虫除けスプレーを吹きつけ、虫対策は万全と思っていたのです。事実、前回の長野キャンプではこの装備により、一箇所も蚊に刺されることなく生還していたのです。しかし、その完璧と思われた防御をものともせず、奴らはジワジワと近づいてくるのです。
それに気づいたときは、もう遅かった。焚き火台の周りや、小さな折りたたみ式テーブルの下、積み上げた薪の上などに、奴らはウヨウヨしていました。さらに酷いことに、私の顔のすぐ横にあったテントの内側の壁によじ登っていたのです。
「ぎゃあ!」
小さな叫びと全身に走る悪寒。思わずチェアから飛びのきました。よく見れば、あたりに十数匹くらいはいたでしょうか。とりあえず薪バサミを拾い上げ、地面にいるそいつらをブーツで払い除け、テントの内壁にくっついていた奴を薪バサミで払い落としました。害はなさそうな虫なのですが、その気味の悪い姿と、大勢で寄ってくるという行動に、私は恐怖を禁じえませんでした。
辺りに他に人はなく、自分ひとり。自分ですべてを解決しなければなりません。勇気を振り絞ってその虫たちを追払い、また焚き火の前のチェアに戻りました。しかし、こうなってしまうと、もう周囲が気になって仕方ありません。焚き火を続けながら、ビクビクと周りを見渡す私。こうなってはもう、焚き火に癒されるどころではありません。「どうしよう」とその後の行動に迷い、ふと自分の左足を見たとき、戦慄が走りました。なんと、これまで見たあの虫たちの中でも一際デカく、通常の2倍はあるであろうボスのようなあの虫が、私の足を登ってくる瞬間だったのです。
「ふっ、ざけんなあ!」
と叫んでチェアから飛び上がるように立ち上がり、薪バサミで自分の足をバシバシ叩いてその虫を払い落とす私。これはもう、襲われてるでしょ! まるでホラー映画のような展開に、私はあまりの恐怖と怒りで、そのまま焚き火を続けることを断念したのです。
これ、みなさんだったら大丈夫ですか? 私が特別虫嫌いだから、これほどまで恐怖したのでしょうか。ひょっとして、私以外の人は平気なんでしょうか。虫が苦手な私は、「アウトドアには虫はつきものである」という問題を先送りにして、キャンプという趣味をはじめることにしました。しかし、ソロキャンプの初回に、ここまで徹底して虫に襲われるとは思いませんでした。
すっかり意気消沈し、焚き火を片付けてテントを閉じる私。時刻はまだ21時くらいだったと思います。でも私にはもう、「BUNDOK・ソロティピー1TC」のインナーテントに逃げ込むしか道はありませんでした。メッシュでできたインナーテントは蚊帳の機能を持ち、私を守ってくれるでしょう。中に入り、小さなLEDライトに照らされながら、さっき襲われた虫をスマホで検索。すると、あれは蜘蛛ではないことがわかりました。なんとダニの仲間で、「ザトウムシ」と呼ばれる虫だそうです。人に危害を加えることはないそうですが(嘘でしょ・・・)、絶対に検索しないでくださいね!
天国と地獄を味わった、今日のキャンプ。今後続けていけるのだろうか。しばらくはそんなことを考えましたが、あまりの肉体的&精神的な疲れに、私はすぐに眠りについたのです。
しかし、悪夢は終わっていなかった・・・!
覚えている方はいらっしゃるでしょうか。この日は2021年10月7日。そう、この日は「千葉県北西部地震」が起きた日です。22時41分ごろ、千葉県北西部が震源となり、マグニチュード(地震の規模)はM5.9。この地震は伊豆でも揺れを感じました。眠りについて1時間半ほどだったでしょうか。前回の長野キャンプでも、慣れないテントの寝づらさに夜中何度も起きた私です。この地震にもすぐに気がつき、目が覚めました。
すぐに自分が伊豆のキャンプ場にいることを思い出し、山の山頂付近にいることもあって「たぶん、一番安全な場所だな」と思い、あまり動揺はしませんでした。そしてふと顔をテントの天井に向けたとき、私はまたも戦慄することになります。なんと、あのザトウムシのボス(勝手に名付けました)が、インナーテントの中、LEDライトのすぐ近くにへばりついているのです。
アイツです。間違いありません。それくらい、他の奴らとは大きさが違います。なんか色もちょっと違います。特別感出してるんじゃねえ! と思いましたが、それくらい迫力がある奴です。私は目を見開いたまま、動くことができません。私が動けば、インナーテントの壁が揺らいで、そいつが降ってくるかもしれません。インナーテントは寝返りを打つことも難しいくらいの狭さ。身動きできない私は考えます。
「インナーテントの中にどうやって入った? いや入るのは不可能だ。そうか、払い落としたと思っていたが、ずっと私の体に張り付いていたんだ!」
いやいや、これはもうホラーでしょう! エイリアンと対峙したリプリーみたいなものです(古い)。テントの外は、いつの間にか雨になっていました。逃げるにしても、インナーテントを揺らさずにファスナーを開け、さらにテント本体のファスナーも開け、雨の中をソックスで歩くわけにもいかないので、放置してあるブーツを履いて脱出しなければならない。ボスを刺激せずに、それをやり遂げることができるだろうか。それも、この狭いインナーテントの中で。
どれだけ時間が経ったことでしょう。ついに私は意を決し、その脱出行程を静かに、そしてミスなく実行してテントを脱出しました。幸運なことにブーツはテントのスカート部分に守られていて濡れておらず、サッとつま先だけ入れて歩くことができました。ホラー映画の舞台となった気味の悪い洋館から抜け出した主人公のように、私はパジェロミニさんへと逃げ込みます。
「今日は君に守られて眠るよ・・・」
とか、わけのわからないことを思いながら、結局はじめてのソロキャンプは車中泊となったのです。
決着の朝
フルフラットにもならないパジェロミニさんの車中で、熟睡とは程遠い一夜を過ごした私。フロントガラス越しに朝日を浴びながら、決戦のときが近づいているのを感じていました。
私はあのテントを回収しなければならない。つまり、ボスとの対決は避けられないものでした。武器は薪バサミとキンチョール。これを両手に持って、テントへと近づいていく私。側から見れば、なぜそんな勇気と決意に満ちたオーラをまとっているのか、と突っ込まれそうですが、本人はいたってマジです。
テントは家に持ち帰らなければならない。しかし、テントの中にあの虫を入れて持ち帰ることは、絶対にできない。それは私の引っ越しを意味します(大袈裟)。自宅であの虫たちが増えまくり、占拠されるわけにはいきません。インナーテントの中にボスはいるはず。それを速やかに見つけて、外に追い出す。もちろん、命まで取ろうとは思っていません。私はあくまで、彼らのテリトリーにお邪魔した存在なのですから。できれば、穏便にお引き取り願いたい。そう思ってインナーテントを覗き込みましたが、予想通り昨夜いた場所にはいません。
「それはそうだろうな」
そう思いながら、テント本体からインナーテントを取り外し、テントの外へと引きずりだします。ファスナーを全開にして中を探ると、そこに奴はいました。ボスです。私は決意に満ちた顔で、インナーテントを逆さに持って振り、ボスを地面に落とすことに成功しました。
「森へおかえり」
そう言って、テントの撤収作業に入りましたが、なんとテントの内外から奴の仲間がぞろぞろ見つかりました。それらを薪バサミで丁寧に排除し、1匹も残っていない状態を確認してテントをたたみます。昨日はあんなに恐ろしかった奴らですが、太陽の光はその恐ろしさを半減させてくれました。2度目となるキャンプの撤収。それは前回の長野キャンプとはまた違った、気だるさがありました。
「森の住民」と言えば聞こえはいいですよね。しかし実際には、ジブリ映画に出てきそうな黒くてモコモコしたかわいい生物ではなく、某人気アニメでは「使徒」と呼ばれそうな、グロテスクな姿をしているのです。人間に危害は加えないとは言いますが、夜中に大勢で迫ってきて、テントの中にまで押しかけてくることは、あるジャンルの人たちにとっては立派な危害です・・・。
ただ、間違ってはいけないのは、この「CAMP BEAN」さんは素晴らしいキャンプ場だということです。限りなく自然に近い状態をキープしており、そこにはさまざまな生き物が棲んでいます。鹿や鳥たち、そして美しい声を出す虫から、恐怖の虫軍団まで。さらには、声を聞いた気がするのですが、猪も近くまでやってきていたように思います。この環境を素晴らしいと思う上級者キャンパーは大勢いるでしょう。しかし、初心者の私にはちょっとレベルが高かったのかもしれません。
キャンプ2回目にして、いともあっけなく露呈した「虫嫌いによるキャンプの過酷さ」。これを私は乗り越えることができるのでしょうか。これも自らが望んでいた、刺激のある冒険なのかもしれません。しかし今はただ、この日のできごとがトラウマとなっていないことを祈るばかりです・・・。
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