ソロキャンプをめざし、デビューのための道具を揃える日々。とても楽しい、ワクワクしかない期間ですが、その中でテントと並んで多くの種類があって、どう選んでいいのかわからないのがチェアです。テントは野外での宿泊のために必要ですが、チェアは宿泊はもちろん、デイキャンプでも使用するアイテム。地べたに座るワイルドスタイルも憧れるんですが、野外の地面というのは当たり前のように濡れていて、土や泥が剥き出しになっているものです。お尻についた泥はテントやシュラフも容赦なく汚してしまうので、特に初心者はチェアを用意しておいた方がいいでしょう。
ここで紹介するのは「Snow Peak(スノーピーク)」の「ローチェアショート」です。熱心な読者(願望込み)ならお気づきかもしれません。
「あれ、コイツってHelinox(ヘリノックス)のグラウンドチェア使ってなかった?」
当サイトで、たった一度しか記述のなかったこのアイテムのことを覚えていてくださる方がいると思うほどおめでたい人間ではありませんが、実はそうなのです。チェアは私にとって、最初に買い換えることになったアイテムだったのです! それほどチェア選びは重要だということを、私は思い知りました。その理由も後ほど語っていきたいと思います。
ソロキャンプ用チェアに求める条件
私が最初のチェアに求めた条件は、以下の通りです。
今回の条件は、そこまで殴りたくなる案件ではないですね! この条件でチェアを探したところ、最初に私のハートにヒットしたのが「Helinox(ヘリノックス)のグラウンドチェア」でした。しかし、私はこのチェアを、2度使用したのみで手放してしまいました。その代わりに購入したのがこの「スノーピーク・ローチェアショート」になります。なぜ私はチェアを交代させたのか。それは実際に使ってみなければわからなかった、キャンプにおける椅子の重要性が関係していたのです。
「Snow Peak」ってどんなブランド?
キャンプに興味を持った人で、このブランドを知らない人はいないかもしれません。「金物の町」として古くから作業工具や刃物を生産してきた新潟県燕三条で、1958年に金物問屋を立ち上げた創業者の山井幸雄氏。「本当に欲しいものを自分でつくる」という志のもと、オリジナルの登山用品を開発していきました。そして現在、「人生に、野遊びを」というメッセージを掲げて、アウトドア用品からアパレルまで総合的に展開する、日本を代表する人気アウトドアブランドとなったのが「Snow Peak(スノーピーク)」です。
今までになかったレベルの洗練されたデザイン性と画期的な機能性を両立し、発表するアイテムはアウトドアマンの憧れの的。スノーピークのギアを使ってみたいからキャンプをはじめる、という人も大勢います。人気アイテムは入荷すれば即完売してしまって入手が難しいのも、ユーザーにとっては人気ブランドならではの悩みのタネです。
「ローチェアショート」ってこんなチェア
スノーピークの「ローチェアショート(LV-093GY)」は折りたたみ式のチェアです。シート高は300mmで、その名のとおりローチェアの部類になります。キャンプでは焚き火台や薪など、地面に近い低いところにあるものを触ることが多く、座面が地面に近いローチェアはかがみ込む動作が簡単にできます。アウトドアで使う椅子ならではの構造と言えるでしょう。
このローチェアショートは天然木のチーク材を使用したアームレストを持ち、横幅580mm、奥行き650mmという余裕のある座面サイズを採用。座り心地はとてもゆったりしていて、快適そのものです。
折りたたんで付属のキャリーケースに入れれば、ショルダーストラップ付きなので女性でも簡単に持ち運べます。ただ、その重量は3.4kgあり、これはお世辞にも軽いとは言えません。徒歩やバイクでのキャンプには不向きというか、ほぼ運用は不可能だと思います。あくまでオートキャンプ用のチェアという印象です。
しかし、その重さにも意味があります。金属加工の町である新潟県燕三条で作られた、アルミ製のフレームは質実剛健そのもの。とても丈夫そうですし、広げて座面に座ったときの安定感は抜群です。グラグラと不安定な椅子に座ることは、自分でも気づかないうちに体に力が入ります。これにより、座っているのに疲れている、という状態になってしまうんですよね。これはたしかに少し重いチェアなんですが、そのトレードオフとして、がっしりした安定感を実現しています。
折りたたんであるチェアを広げるのも、とても簡単です。画像で示した部分をつかんで広げるだけでチェアになります。もちろん、折りたたむのは、その逆をするだけです。女性や子供でもできると思います。ただ、やはり少しだけ重く感じるので、男性がパッパッと広げてしまった方がいいかもしれませんね。
座面の生地が1枚では耐久性に不安が残ります。でもスノーピークのローチェアショートは、しっかり二重になっていて安心。サイトには耐荷重の表記はないのですが、お店のスタッフさんに「約100kgくらいなら大丈夫」と言われた方もいるようです。とは言え、確かな情報ではないので、そこは自己判断で使用してくださいね。
「ローチェアショート」と「ローチェア30」の違いとは?
なんと、スノーピークのチェアにはもうひとつ「ローチェア30(LV-091KH)」という、よく似たチェアがラインナップされてます。こちらのチェアとローチェアショートの違いをまとめてみました。
ローチェアショート | ローチェア30 |
---|---|
背もたれが低い | 背もたれが17cm高い |
重量が少し軽い | 重量が200g重い |
収納サイズが小さい | 収納サイズが17cm長い |
アームレストがチーク材 | アームレストが竹集成材 |
背もたれ後ろにメッシュポケット装備 | |
価格25,300円(税込) | 価格18,700円(税込) |
どうでしょう。とても微妙なスペックの違いですよね。簡単に言えば、ローチェアショートの方が小型で軽く、便利な背もたれポケットと天然木のアームレストが付いた豪華版ということになります。しかしローチェア30には17cm高い背もたれがあり、座り心地はよりリラックスできるものになっています。ここに差額6,600円の価値の差を見出せるかどうかは意見が分かれるところでしょう。
私がローチェアショートを選んだ理由は、背面のメッシュポケットです。キャンプ場では、特に夜になるとモノがなくなりがちなので、小さな道具を辺りにポイっと投げてしまうよりは、いつでも取り出せる椅子の収納に入れておこうと思ったからです。でも、ちょっと差額が大きいですよね笑
HelinoxからSnow Peakのチェアに替えた理由
私はソロキャンプの予行練習と、はじめてのソロキャンプの2回には「Helinox・グラウンドチェア」を持っていきました。この「Helinox(ヘリノックス)」のチェアも大人気商品。その特徴はなんと言っても、衝撃の軽さにあります。スノーピーク・ローチェアショートの3.4kgに対して、ヘリノックス・グラウンドチェアは640g(!)。もう、そもそも重さの単位が違います笑 もちろん小さく折りたためるので、片手で振り回せるくらいの軽さです。これなら徒歩やバイクでのキャンプにもバッチリでしょう。さらにはそのお値段も13,370円(税込)と、キャンプ用チェアにしてはお高めなんですが、ローチェアショートとは比べ物にならないほどリーズナブルなんです。
そう考えて、私もこのヘリノックス・グラウンドチェアを買ったのです。しかし、実際に使ってみると、気になることがいくつか出てきました。
まず、座るとフレーム全体がたわんでしまい、ガッシリした座り心地ではないことです。グラウンドチェアは特に低くて小型のチェアなので、余計にその特徴が出たのかもしれませんが、私は落ち着いて座っていることができませんでした。全体的に弾力がある感じで、お尻の周りを包み込むような座り心地。耐荷重はメーカー発表で120kg(静かに座っている状態)なので、強度的には十分なはず。ただ、ギシギシ、グラグラする座り心地に、少し疲れてしまいました。
また、グラウンドチェアにはアームレストがないこともマイナスポイント。アームレストは座っているときは手を置いてリラックスすることができますし、立ち上がる際に手をついて、体の支えにできる部分なんですね。アームレストがなく、とても座面が低いグラウンドチェアは、立ち上がるたびに地面に手をつかなければなりませんでした。立ち上がるたびに手が泥で汚れるのは、結構なストレス。実際にキャンプで使ってみて、椅子にとっては座り心地と同じくらい、立ち上がりやすい構造も重要なのだと知りました。
Snow Peak ローチェアショート | Helinox グラウンドチェア |
---|---|
がっしりした座り心地 | お尻を包み込むやわらかい座り心地 |
アームレストあり | アームレストなし |
かなり重い(3.4kg) | とても軽量(640g) |
折りたたんでも大きい | コンパクトに折りたためる |
オートキャンプのみ | バックパック、バイクも対応 |
価格25,300円(税込) | 価格13,370円(税込) |
こうやってお互いの特徴を並べてみても、そもそも商品コンセプトが違うことがわかります。ローチェアショートは座り心地、グラウンドチェアは携帯性を最も重視して設計されていると思われます。ですので、これはどちらの商品が優れているか、という話ではありません。この2つの商品を並べたとき、自動車で移動してのキャンプがメインである私は、座り心地重視のチェアの方が合っていたのです。
どちらが優れているか、ではなく自分の使い方に合っているチェア。
これが、私にとってはスノーピークのローチェアショートでした。がっしり安定感のある座り心地は、完全に身をまかせて座ることができますし、すべて自分でやるソロキャンプは、座ったり立ち上がったりが多く、それは忙しないものです。これをストレスなく、スムーズにできるのは助かります。3.4kgという重さを感じるのは、クルマのカーゴルームから出し入れするときだけです。いったん展開してしまえば、この重さが頼りがいのある丈夫さに変わるのです。
このように、キャンプギアは事前の想像と異なる使い心地になることがあります。こうやってキャンプの経験を増やしていくことで、私のもとには精鋭のようなキャンプ道具が残ることになるのでしょう。それらに囲まれてキャンプするのが楽しみです。
ちなみに、私にとってはじめてのテントである「BUNDOK・ソロティピー1TC」についてもレビューを書きました。このテントに興味がある方は、ぜひ読んでみてください。
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