ソロキャンプの誘惑にきっちり負けることを決めたら、道具を揃えなければなりません。とりあえず最初のキャンプに出かける前に必要な、最低限の装備。その中に必ず入ってくるのが「テント」でしょう。
最初は日帰りのデイキャンプでもいいですし、クルマを持っているなら車中泊という選択肢もあると思います。もちろん、そこからはじめてもいいと思いますが、私は「テントに宿泊する」ことに大きな魅力を感じていますので、外すことはできません。星の数くらい種類がありそうなテント。ここから最初の一幕を選ぶのは大変! ウソです笑 とても楽しい悩みの時間でした。この、自分に合う道具を探している時間、これもキャンプの醍醐味なんですよね! 時間が経つのを忘れるくらい、スマホとにらめっこして、とても楽しかったです。
さて、私がウキウキしながら白羽の矢を立てたのが、そのコストパフォーマンスの高さと無骨なデザインで人気が高い「BUNDOK(バンドック)」のテント。その代表的なソロキャンプ用テントは、すべてネーミングに「ソロ」が入った、「ソロドーム1」「ソロベース」、そして「ソロティピー」の3つです。その中で私が熟慮に熟慮を重ね、最初の一幕として選んだのは「ソロティピー1TC」でした。
今回はこの「ソロティピー1 TC」について、実際に使用した感想などをお話ししていきたいと思います。
ソロキャンプ用テントに求める条件
私が最初のテントに求めた条件は、以下の通りです。
どうでしょう、またまた若干殴りたくなる案件ではないでしょうか。
しかし! 探せばあるもので、この条件をほとんどクリアしているテントを発見したのです。それこそが「BUNDOK・ソロティピー1 TC」だったのです。
「BUNDOK」ってどんなブランド?
「BUNDOK」は「バンドック」と読み、日本の新潟県三条市に本拠地を置く株式会社「カワセ」のブランド。より手軽で快適なアウトドアライフを実現するため、その商品は組み立てが簡単で収納性に優れ、そして何よりリーズナブルな価格で提供することをコンセプトとしています。
製品ラインナップはソロ用から3人用までのテントやタープをはじめ、焚き火台やテーブルウェア、チェアやテーブル、寝袋にいたるまで総合的に展開。人気のあまり完売するアイテムも多く、その動向をつねにキャンプファンたちが気にしている人気ブランドなのです。
「BUNDOK・ソロティピー1TC」を設営してみた!
キャンプ場に持ち込んでの、はじめてのテント設営。一人での作業だったので、ちゃんと設営できるか心配でした。しかし、その心配は無用でしたね。この「ソロティピー1 TC」は、さまざまなテントの中でも屈指の、設営が簡単なテントだったのです。
基本的にはテントの四隅にペグを打って固定。その後に、テントの真ん中をポールで持ち上げるだけです。その後、テントをピンと張りたい方や、風が強い日などはガイロープを地面にペグで固定する必要がありますが、白樺の木に囲まれたこの穏やかなキャンプ場では、この2工程だけで十分でした。
しかし、設営の時点で気になることが。それは「ソロティピー1 TC」の重量です。普通のナイロン素材と違って、このテントはポリエステルとコットンの混紡生地を採用。これにより夏は涼しく、冬は温かく、通気性がいいのでテントの内側が結露しにくいというメリットを持っています。このメリットがある代わりに、このテントの生地はとても重いのです。
その重さはテント一式でなんと約4.8kg。テントの重さはいろいろなところで影響があります。私のように自動車ではなく、徒歩やバイクでキャンプにくる人にとっては、キャンプ場まで運ぶのに一苦労です。また設営や撤収のときにも、何度となくテントを持ち上げたり、運んだり、広げたりします。テントが重いということは、設営の重労働に直結するんですね。この日、夏とはいえ山のキャンプ場は涼しく、Tシャツの上に長袖のネルシャツを羽織っていた私は、設営完了時には汗だくになっていました。
また、よく言われることなのですが、このテントに付属しているペグは、明らかに強度不足に感じます。私が地面にペグを打ち込むのが初体験ということもあったと思いますが、そんなに固い地面でもなかったのですが、いとも簡単に曲がってしまいました。私はこの評判を事前に見ており、チタン製の丈夫なペグを持参していたので、それを使って設営しました。予備の丈夫なペグは、キャンプの必需品だと思います。
とは言え、はじめて設営した「ソロティピー1 TC」は無骨なデザインでカッコよく、疲れも吹き飛ぶような満足感がありました。
このテントの素晴らしいポイント
まずなんと言っても気に入ったのが、この「ザ・テント」と呼びたくなるような、クラシカルなデザイン。テントと聞けば誰もが思い浮かべる形で、ポリエステルとコットンの混紡生地によるマットな質感はとても無骨でカッコいいですよね。カラーバリエーションはカーキとサンドベージュの2色があります。
しかもスカートとベンチレーション(通気口)が付いているので、冬は温かく、夏は涼しくすごすことができます。またテントの開口部が前後2箇所にあるので、フルオープンすればタープやシェルターのように使うこともできます。フロントを跳ね上げて付属のポールで固定すれば、屋根のある前室に早変わり。ポリエステルとコットンの混紡生地は燃えにくい性質を持っているので、火との距離に気をつければ、前室から焚き火をいじることも可能です。
また、冬には「薪ストーブ」と組み合わせて使う人もいます。このテントは薪ストーブを使用する前提で設計されていないので自己責任とはなりますが、薪ストーブの熱がテントに直接当たらないように工夫し、また一酸化炭素中毒に気をつけて、しっかりと換気すれば使用できるようです。くれぐれもメーカー非推奨ということを忘れずに、十分な準備をしてから挑戦してみてください。
このテントにあった、意外な盲点とは?
重かったり、ペグが弱かったりしたものの、無事に設営を完了した「ソロティピー1 TC」。ここまでは事前にレビューを見るなどして、想定内でした。しかし、このテントには使ってみるまでわからなかった、「一部のジャンルの人たちにとって致命的な弱点」があったのです。そのジャンルとは、ズバリ「虫嫌いなキャンパー」です!
そう、私は自他ともに認める虫嫌い。「虫嫌いがキャンプなんて」と言われれば、ぐうの音も出ません。でも、キャンプには私にとって、虫が苦手という理由だけで諦めるわけにはいかないほどの魅力がありました。ですので、見切り発車というか、都合の悪いことは忘れたフリというか、とにかくキャンプを始めてしまったのです。この辺りの葛藤については、以下の記事を参照してください。
なので、ハッキリ言います。「このテントの中は、外です」。つまり、虫が現れたときに逃げ込む「安全地帯」としての機能はほとんど持っていません。このテントは屋根であり、壁としての機能があるだけで、床はありません。そこは草が生えて、虫が這う地面なのです。虫が苦手な私が、テントを安全地帯として使うには「ドーム型テント」が必要だったのです。このドーム型テントは、言わば出入り口付きのカプセルです。その出入り口を閉めてしまえば、虫は中に入ってくることはできません。虫嫌いの私が虫が出る季節に使うべきだったのは、このドーム型テントであり、「ソロティピー1 TC」は私から見れば上級者向けのテントだったのです。
もちろん、「ソロティピー1 TC」が虫たちに対して、完全に無防備であるわけではありません。このテントにはインナーを取り付けることができ、これが密室となって蚊帳の役割を果たします。しかしこのインナーはテント内容積の半分をカバーするのみ。その広さは、大人が一人寝転がれば終わりで、寝返りを打つこともできません。
夜、寝ているときに、テントの中で虫が跳ねている音が聞こえます。翌朝、テント内に置いてあったバックパックを見たら、私と一緒に帰りたいのか、何体かの虫たちが忍び込んでいました。さらには、テントの頂上付近にあるベンチレーション(通気口)の内外(!)に、虫たちが集まって詰まっていました。これはきっと、人間が放出する二酸化炭素に集まってきたのだと思われます。通気口がちゃんと機能している証とは言え、私は何度も鳥肌を立ててしまいました。
結局「ソロティピー1 TC」ってどんなテント?
私にとってはじめてのテント「ソロティピー1 TC」を実際に使ってみての感想をまとめてみました。たくさんのメリットと若干のデメリットがありますが、これは結局使う人の用途によってはまったくデメリットがない、ということもあると思います。特にキャンプ上級者にとっては、こんなに素晴らしいテントはなかなかないのでは?
「ソロティピー1 TC」のメリット | 「ソロティピー1 TC」のデメリット |
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オールシーズン向き | 密室になりにくい |
無骨なデザイン | 重量が約4.8kgと重い |
設営が簡単 | 折りたたんでもデカい |
前室スペースが作れる | ペグの耐久性が低い |
近くで焚き火ができる | 真ん中のポールが邪魔 |
薪ストーブが使える(自己責任で!) | |
価格がリーズナブル |
以上が私の「ソロティピー1 TC」のレビューとなります。このテントが気になっていた方の参考になれば幸いです。
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